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コタエルコラム

#信託型ストックオプション

#税制適格ストックオプション

税制適格・信託型ストックオプションとは

2024.03.15

2023年7月7日、国税庁による「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)が改正され、権利行使価額の設定にあたり税務上の評価額(特例方式)を用いた算定が認められることになりました。
これによって、非上場企業においては権利行使価額を低く設定することが可能となり、税制適格ストックオプションの利便性が向上したと考えられています。

もっとも、特例方式を適用した税制適格ストックオプションを導入する場合には、以下のような点に注意する必要があります。

  1. 税務上の評価額=企業会計上の株価ではありません。
  2. 上場に向けて監査法人と協議開始する段階以降は、いわゆる「企業会計上の株価」で算定することが監査法人などから求められる(企業価値の算定においてDCF法などを利用)こととなります。
  3. つまり、権利行使価額が税務上の評価額以上であれば、税務上は税制適格要件を充足するが、会計基準上は本源的価値が生じることにより、株式報酬費用の計上を求められることになります。
  4. 仮に上場申請期~直前々期のスタートアップが株式報酬費用の計上を避ける選択をとる場合には、企業会計上の時価によって権利行使価額を設定する必要が生じます。また、株式報酬費用の計上をやむなしと考えた場合でも、上場直前に多額の費用計上を行うというのは通常避けたいところですので、ストックオプションを多く発行するのは難しいところです。
  5. さらに、特例方式の利用については、株主が反対する場合も少なからず存在すると聞き及んでおります。

 
このような実務上の問題を解決し、税制適格ストックオプションをより広く活用いただくことを目的として独自開発されたのが、税制適格・信託型ストックオプションです。

税制適格・信託型ストックオプションの仕組み

国税庁が2023年7月7日付で公表した「ストックオプションに対する課税(Q&A)」の問12において、信託型ストックオプションを税制適格ストックオプションとして交付することが認められました。これにより、税制適格ストックオプションは ① 役職員等に直接付与するタイプ と ②信託を通じて付与するタイプ の2種類に峻別されることになりました。
 
当社の「税制適格・信託型ストックオプション」はこのうち②のタイプであり、原則として発行時の株価(時価)ベースで権利行使価額が設定されるものの、万が一役職員への受益者指定時に税務上の評価額がこれを上回った場合には、権利行使価額が税務上の評価額になるとされている信託型ストックオプションです(このような万が一のケースに備えた新株予約権を「トリガー条項付新株予約権」といいます。)。
かかるトリガー条項付新株予約権の活用により、税制適格要件のうち「受益者指定時の権利行使価額が税務上の評価額以上であること」という権利行使価額要件を非上場のあいだ常に満たすこと、すなわち長期にわたって特例方式を利用することが可能となりました。
 
直接発行型の税制適格ストックオプションの場合、冒頭でご説明した1.~5.のような実務上の懸念が発生し得ることからすると、直接発行型にはないメリットも存在していると考えており、直接発行型の税制適格ストックオプションと共に活用されていくものと考えております。


税制適格・信託型ストックオプションのメリット

税制適格・信託型ストックオプションのメリットについて、ポイントごとに解説します。
 
まずはストックオプションを付与するタイミングについてです。直接発行型の税制適格ストックオプションは発行時に付与対象者を決定する必要がありますが、税制適格・信託型ストックオプションは付与対象者を後決めすることができます。役職員の実際の貢献に基づいた納得感のあるインセンティブ運用が可能であるという点は、従来の信託型スキームと同様に最大のメリットとなっています。
 
さらに、先で述べている通り、万が一税務上の評価額が権利行使価額を上回った場合でも、権利行使価額が調整されることで長く特例方式を利用できるという点もまた、税制適格・信託型ストックオプションならではの強みです。加えて、直接発行型の税制適格ストックオプションでは上場準備以降~上場後の特例方式の利用が実務上制限される一方、税制適格・信託型ストックオプションでは同期間でも特例方式の利用が可能です(トリガー条項による価格調整は上場までの受益者指定のみです。なお、上場前に役職員に税制適格ストックオプションを交付するためには、日本上場の場合、ロックアップ規制を受けないN-2期までに税制適格・信託型ストックオプションを導入する必要があります。)。
 
また、直接発行型の税制適格ストックオプションにおいて特例方式を利用する場合には、発行する都度、時価との差額についての費用計上と株価(時価)の算定が必要になります。それに対し、税制適格・信託型ストックオプションでは会計基準上、発行時に本源的価値法に基づく費用計上をするのみとされており、煩雑な手続きや度重なるキャッシュアウトに悩まされることがないと考えられます。
 
このように、税制適格・信託型ストックオプションは従来の信託型スキームのノウハウを応用し、税制適格ストックオプションを最大限活用いただけるよう設計されたサービスとなっております。
 
本サービスにつきまして、ご質問やご要望等がありましたらお問い合わせフォームからご連絡いただけますと幸いです。

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