コタエルコラム
#信託型ストックオプション
民事信託と商事信託の違いについて
信託型ストックオプションにおける民事信託と商事信託の違いをご説明させていただきます。
商事信託というのは、信託業法に基づいてライセンス(免許や登録)を持つ者が業として受託者になる信託をいいます。信託業法というのは、信託会社や信託銀行を規制する中心的な法律で、その信託業法の第3条や第7条には、信託業を営むときには免許や登録が必要である旨規定されています。
このような免許や登録を受けていないと、信託を「業」として行うことができません。
この「業」の定義ですが、「営利の目的をもって、反復継続してする行為」と解釈されています。
ということは、逆に言えば、非営利で1回限りの信託に限っては、信託業の免許や登録を受けずとも信託の引受け(受託)をしても構いません、ということになります。
例えば、認知症の親の財産の管理を無償・1回限りのこととして子供が受託するといったことを行っても問題ない、これが民事信託と言われるものです。
当社の設立以前は、時価発行新株予約権信託®も民事信託の形式で行われていました。新株予約権を発行する会社の顧問税理士を務める先生方に、1回限りのこととして受託をお願いしていたのです。
ところが、民事信託での時価発行新株予約権信託®の導入件数が増えるにつれ、顧問税理士に協力を拒否されるケースや、1回限りでないといけないのに再度別の信託型ストックオプションの受託をしてしまうケース、受託したものの税務申告を拒否されるケース、途中で連絡が取れなくなるケース等も出てきました。
また当社スキームのように、同一顧客から反復継続して信託の引受けを受けることが想定されるスキームは、そもそも民事信託では実施することができません。
さらに、昨今FATF(金融活動作業部会)において我が国のマネーロンダリング規制が不十分なものであると評価され、「国内外の信託、特に信託会社によって設立されていない、あるいは管理されていない信託の透明性に関しては、課題がある」と明言されるに至り、今後、株式市場のように反社会的勢力の排除やマネーロンダリング規制に特に配慮をしなければならない領域においては、民事信託の活用が著しく制約される可能性が高くなってきております。
当社の知る限り、民事信託による時価発行新株予約権信託®を除き、非上場企業が導入した民事信託による信託型ストックオプションで、上場承認を得た上で無事に分配まで至ったものはまだまだ少なく、また非上場企業が導入したこれらの信託型ストックオプションの多くが、上場審査の過程あるいは上場承認後に廃止を余儀なくされたという経緯も聞きます。
管理型信託の登録申請時にFATFの審査結果までを予期していた訳ではございませんが、いずれにせよ①監督官庁の監督下で適切な信託の引受けを行い、②もっと複雑で利便性の高い信託スキームを提供したいと考えた場合、いまや商事信託こそが唯一の選択肢ではないかと当社としては考えております。
当社は引き続き商事信託の担い手として、真っ当で堅実な信託の引受けで皆様の信頼にコタエル存在で在り続けたいと当社は考えております。
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昨今、当社の提供する信託型ストックオプション「時価発行新株予約権信託®」に類似する商品の導入を勧める業者・専門家が増えております。信託型ストックオプションであるオプションプール信託®や時価発行新株予約権信託®、1円ストックオプション信託®のほか、有償ストックオプション信託®、譲渡予約権信託®、コール・オプション信託®は当社グループの登録商標であり許諾なく第三者が使用することはできません。
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